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地球に飛び降りた男:ジョゼフ・キッティンガー

上空 31km そこは成層圏

地球の大気はおよそ9km(極付近)~17km(赤道う付近)までが対流圏といわれ、ふつうの気象現象が起こる範囲です。
これよりも上層になると成層圏といい、およそ高度50km付近まで続きます。
対流圏と成層圏の境目が対流圏界面といいますが、地表から徐々に温度が下がり、この対流圏界面がもっとも気温が低くなります。
およそマイナス70度Cです。
その後、対流圏界面を超えてさらに上昇すると、成層圏では今度は温度が少しずつ上昇します。
成層圏では温度がだけでなく、気圧も地上とはまったく違います。
もし、圧力を保持できる宇宙服に身を包んでいなければ血液は一気に沸騰し、目は飛び出してしまうでしょう。
大気の圧力はほとんどないからです。

成層圏へ気球で上がった人

ヘリウムの気球とゴンドラを使って、この成層圏まで登って行った人がいます。高度はなんと31.33km
米空軍のテストパイロット、ジョゼフ・キッティンガー大尉で、1960年8月のことです。

飛び降りるテスト

彼は極限の世界で、上空31kmで、およそ11分間高度を保っていました。
何のために?
ゴンドラがちょうどよい場所に流れていくのを待ったのです。
ちょうどよい場所とは・・・?
そう、飛び降りるのによい場所です。
彼の挑戦は、もちろん、ゲームやスポーツではありません。
マンハイ、エクセルシオという二つの連続した米空軍のプロジェクトで、
将来宇宙飛行士が事故の際に無事脱出できるか、脱出する方法があるか調査することが目的でした。

歴史に残る大ジャンプ

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落下開始後、キッティンガーは落下しているという感覚がなかったと述懐しています。
それは、速度を感じさせるものが何もなかったというのです。
高速で落下しているにも関わらず、空気がないので風を感じない。空気の抵抗を感じない。
遠くに見える雲はまったく近づいてくるようには見えない。
雲圏に突入して初めて速度を感じたということです。
彼がこのジャンプを決行するにあたって大きな問題を抱えていました。
彼の宇宙服の右手のグローブにピンホールがあって、圧力、温度が下がり、大変な痛みを感じていたのです。
しかし、彼は、実験中止を恐れて、それを隠したまま、まさに決死のジャンプをしたのです。

前人未到、その後も破られない記録:しかし、やり残したことも

キッティンガーは意を決して、ゴンドラから飛び降ります。
写真はキッティンガーのジャンプと生還時の写真とされていますが、鮮明度の悪いモノクロの写真の中に鮮明なカラー写真なので、詳細は不明です。

しかし、このジャンプで彼が達成した、高度、落下速度(マッハ0.9)、自由落下時間などの記録は未だに破られていないとてつもない記録です。
かれは速度がマッハを超えていたと自分では感じていたようですが残念ながら、マッハには届きませんでした。
かれは、再度、同じようなジャンプを試みますが、かれのやり残した記録の更新には至りませんでした。
それは、自由落下で、マッハを越えることでした。
しかし、キッティンガーは生身の体で、地球の大気の様子を体験したのです。

カテゴリ: 地球・宇宙そして大気 , 大気圏