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地球の気温はなぜ計算で求められた温度-15℃よりも暖かいのか+15℃

熱のバランス

太陽の光が地球を温めるエネルギーです。
太陽の熱がなければ、地球はほとんど絶対零度、-273Kの極低温の世界になってしまいます。
地球の暖かさは、太陽から差し込まれる熱と、地球が放出する熱がうまいことバランスして、平均気温15度という過ごしやすい環境を作っているためです。
周囲より温度の高い物質は温度の低い周囲に向かって熱を放出します。
そして、温度の高い物質は冷やされ、温度の低い物質は温められ、最終的に同じ温度になるのです。

地球の温度:計算値と現実の差の意味

フーリエが計算で求めた地球の平均気温は-15度ですが、現実の地球の平均気温は+15度と、計算値と実際の温度には、30度もの差があります。
この温度差を生み出しているのはいったい何なのだろうか。
太陽以外の熱源があるのだろうか、それとも地球が宇宙空間に放出すべき熱を閉じ込めておくような何ものかがあるのだろうか。
何か大きな理由が存在しなくては、この温度差の説明がなりたちません。

地球の温度の意味を調べる実験

それを調べるため、1857年夏、フランス人の科学者ティンダルはある実験を計画しました。
彼は、フランスの王立研究所の地下に「人工的な空」を造りました。
ガラスの容器の周囲に熱源と光源を設置し、ガラス容器の中に空気を入れ、いろいろな光を当てて、光の通過の様子、温度に与える影響などを調べたのです。
かれは、その実験で、まず地球が熱を放出するのは赤外線であることを突き止めます。
そして、赤外線が大気によって吸収されるのか、吸収されないのかなど、まず基本的な情報を調べはじめました。

空気があるから温かいのではなかった

大気が赤外線を吸収するなら、熱は大気によって保持されることになります。
人工の大気として窒素81%、酸素19%を混ぜた気体を作り、赤外線の吸収の様子を調べたのです。
しかし、ティンダルが作った人工大気は、光も熱も、あっさり通り抜けてしまい、大気は熱を吸収できなかったのです。
つまり、空気があるから、地球は暖かく、空気がないから月は寒いのだという説明は成り立たないことになるのです。

空気があっても、地球は寒く、冷たい天体になるはずなのです。

二酸化炭素が答え

かれは、より本当の大気に近い人工の大気を作るために、酸素と窒素でできた空気の中に、二酸化炭素を空気に加えてみることにしたのです。
空気中の二酸化炭素は0.04%です。そんなわずかな二酸化炭素を混ぜてみたところで、あまり大した意味はないとは考えてはいたのですが、ともかくできるだけ地球の環境に近い状況で確認したかったのです。
そこでともかく二酸化炭素を加えて、光と熱の吸収の実験をしてみたのです。
その結果は驚くべきものでした。
一気に状況が変わったのです。
わずか0.04%の二酸化炭素が加えられた大気は、劇的に赤外線を吸収したのです。

二酸化炭素の働き

二酸化炭素は分子が3つの原子で構成され、窒素や酸素よりも複雑な構造になっているためです。
窒素や酸素と違って、二酸化炭素は赤外線が当たったときの動きが複雑でした。回転したり、振動したりしてエネルギーを吸収することができたのです。
ティンダルは、水・H2O、メタン・CH4、オゾンO3はいずれも赤外線をよく吸収することを確認しました。これらも空気中に含まれ、複雑な分子構造をしているからです。

二酸化炭素が地球を守り、温暖化の原因にも

ティンダルの研究は、その後「二酸化炭素の温室効果」ということで、温暖化の研究のきっかけとなりました。
しかし、「温室」というのは、カラスの部屋で、温まった空気が外に流れ出すのを防ぐものです。
冷たい外気から、空気の流れを遮断した暖かいガラスの部屋です。
いままでの説明をよくお読みいただければ、二酸化炭素の働きは地球を温室のように遮蔽する窓ガラスのような働きではありません。
太陽の光とともに地上に降り注いだ太陽の熱が、地球を暖め、暖かくなった地球は、宇宙の極低温の世界へ、赤外線の放射により、熱を放出するのです。
あたたかい空気が宇宙空間に流れていくわけではありません。
二酸化炭素が空気の流れを止めているのではないので、「温室効果」という表現は適切ではないのです。
二酸化炭素は、赤外線の熱を吸収して、放出を防いでしまうのです。
太陽からのエネルギーと地球からの放出が本来なら-15度でバランスするところを、わずか0.04%の二酸化炭素が+15度でバランスさせているのです。
二酸化炭素は赤外線を受けると回転したり、振動したりして、赤外線を地上に反射させたり、同じ大気中に跳ね返したり、もちろん宇宙空間に反射したり、いろいろな方向にエネルギーを跳ね返しているのです。
このようにして、地球に生命をもたらした二酸化炭素が、過剰になってしまうと、今度は温度が上昇して何年かすると現在よりも4度も,5度も地球の温度を上昇させてしまう危険があります。ほんの微量で大きな影響を与える二酸化炭素ですから、油断のならない問題になっています。

カテゴリ: 地球・宇宙そして大気