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ボイルと真空ポンプ

音の伝わり方

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ロバート・ボイルはサイフォンが空気の圧力、押す力によって水を押し出していることを、真空ポンプを使って証明して見せました。
かれは、最近発明されたばかりの真空ポンプを使って、いろいろな実験をして、空気とはなにか、どんな働きをしているのか調べました。 音が空気の振動であることは、今では小学生でも知っているかもしれません。
ボイルの時代、音は空気と関係があることは漠然と知られていましたが、それ以上の詳しいことは分かっていませんでした。

真空での音の伝わり方

そこで、彼は、最新型の秒針のついた時計をガラス容器の中に入れてみました。
この時計の秒針の音は、「カチッ、カチッ」と容器の外にまで確かに伝わってきます。
そこで、真空ポンプを使って、空気を抜き始めると、時計の音が徐々に小さくなっていきました。
最後はガラス容器に耳をつけて、どれほど神経を集中しても、ついに音聞こえなくなってしまいました。
それでも、容器の中では、時計の秒針は確かに動いているのが見えるのです。

静寂の世界

空気がなくなると、音がなくなる。
空気がない世界は音のない世界なのです。
宇宙を題材にした戦争映画がありますが、いろいろな化学兵器はすさまじい音を立てます。
実際の宇宙では、音は伝わらないのです。
真空の世界は静寂な世界です。

空気のない世界と空飛ぶ生き物

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17世紀の後半、まだ、空気がどのような働きをしているのか、ほとんど何もわかっていませんでした。
それで、ボイルは、真空中では音が伝わらないことを知ると、次に、昆虫や鳥が空を飛べるのは、空気とどのように関係しているのか、調べようとします。
空に浮いているように見える虫や鳥はどうして空中を飛べるのだろうか。
今であれば、そんな恐ろしい実験をまともな神経の人は考えないでしょうが、ボイルの時代には、まったくわからないかったのです。

空気のないと死んでしまうことの驚き

どんな実験をしたのでしょうか。かれは、昆虫・ハチをガラス容器に入れ、中を飛び回る様子を観察します。
そして、次に、容器の空気を真空ポンプで、徐々に排気したのです。
容器の中の空気がなくなったとき、昆虫はどのように空中を飛ぶのか、観察したかったのです。
排気開始直後は何事もないかのように見えたハチは、突然、落下してしまいました。
あわてて、空気を戻しましたが、もはや、死んで動きません。
ひばりを使って同じことをしてみると、排気開始まもなく、ひばりはやはり地に落ちて、身もだえするので、急いで空気を戻しましたが、やはり時すでに遅く、ひばりは死んでしまいました。

研究の方向転換

何も調べることができないまま、空中を飛ぶことと空気の関係の研究は挫折してしまいました。
空気と飛ぶことの関係以前に、空気がないとなぜ死んでしまうのかということさえも、何もわからなかったのです。
第一に呼吸が何のためなのか、そんなことすら誰も知らなかったのです。
ですから、空気がない世界で、どのように空中を飛ぶのかを研究する前に、
空気がないと、なぜ、死んでしまうのかということについて、先に調べなければ、飛ぶことの研究に進むことができません。

呼吸?何のために息をするのか

ボイルは昆虫や鳥が飛ぶことと空気の関係を調べようとしましたが、
完全に行き詰まり、
やむなく、方向転換して、空気と呼吸の関係に矛先を向けることにしたのです。
驚くかもしれませんが、そんなことにもついても、何もわかっていなかったのです。
さらに、空気が窒素と酸素で構成されていることがわかるのは、だいぶ先のことなのです。
当初、ボイルが考えていたのは、呼吸は肺が熱くなるのを防ぐために、
外の空気を取り入れて、肺を冷やしているのではないかという説に一目置いていました。
また、実験の動物が死ぬのは、空気を抜くときに起きる何かが原因で、何かをのどに詰まらせて、死ぬのではないかと考えました。
同時に、ボイルは、火が燃えるのに空気が必要で、ランプの炎は、空気を抜くと消えてしまうことを知っていました。

空気の中にきっと何か秘密がある

ボイルは動物の生命に空気が必要で、空気がなくなると動物は生きられないということには、
何か共通することがあるようにも感じ始めてていました。
かれは空気の中にある何らかの成分がこのことと深くかかわっているのではないかと述べています。
いま一歩、もうちょっとのところまでたどり着きましたが、彼の時代までの知識では、この問題の答えを得ることはできません。
解答は次の世代の研究者に引き継がれることになります。
残念ながら、この問題の解答を得ることなく、まもなく、ボイルも人生の終わりを迎えることになってしまいました。

カテゴリ: 地球・宇宙そして大気