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ガリレオは空気に魅せられていた

太陽に背を向けて

ガリレオが望遠鏡を使って太陽を観察したのは有名な話です。
彼は、黒点の動きを観察し、太陽が自転していることを突き止めました。
また、木星に月があることを発見したのもガリレオです。
しかし、望遠鏡で、太陽を観察するという無謀な研究の結果、彼の眼は痛められ、70歳という年齢にともなう緑内障、白内障もあって、視力を失いかけていたのです。
ガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei、ユリウス暦1564年2月15日 - グレゴリオ暦1642年1月8日)の時代、当時は地球が宇宙の中心で、地球の周りを太陽も月も回っていると考えていましたが、ガリレオの研究は単なる観察を超えて、天動説という当時の思想と真っ向から対立する考えを提唱することになります。
しかし、当時の社会、とりわけ思想を支配していたカソリック教会は、ガリレオらの提唱する天動説を異端として取り締まっていました。
彼は自身の肉体的な状況、社会的な状況から、これ以上、太陽を観察し、研究を継続することが無理であることを知ると、望遠鏡を捨て、太陽に背を向け、新たな方向に、とりわけ「空気」に興味を持ち始めたのです。
ガリレオの時代は、アリステレス以来の世界は4元素でできていると考えていた時代です。
水、土、火、空気。
すべてはこの4元素から成り立つ。
しかし、それにしても空気とは何なのか?

空気は彼にとって、身近にありながら、不思議なことに、あまりにも漠然とした存在で、いったい、どういうものであるのか、まったくとらえどころがないものでした。

空気の重さを測る

ガリレオが最初に取り組んだのは空気の重さを測ることでした。
彼は、すでに、ものが重力によって引かれることを、重要な実験で示していました。
当時、一般には重く大きなものは落下するスピードが速く、反対に軽く小さいものは落下する速度が遅いと考えられていました。
ガリレオは高い塔の上から大きな砲弾と小石を同時に落としてみたのです。
砲弾がはるかに早く地面に落下するものと思って、多くの人が見守っていましたが、驚くべきことに、重い砲弾と小石はほぼ同時に地面に落ちたのです。
それらの実験によって、ものに重さがあること、地面に落下するのは引力によて引っ張られることはわかっていました。
それは天体の観測がもたらした重要な知識です。
しかし、空気には重さがあるのだろうか、それとも空気は引力の影響を受けずに、ただふわふわと漂って存在しているのだろうか。
さて、いったい、どうやってガリレオは空気の重さを測ったのでしょうか。

ガリレオが考えついた空気の測り方

最初に密閉できるふたのついた大きなフラスコのようなガラスの容器を重さを量りました。天秤で、片方にガラスの容器、片方に砂。
重さがあるか、ないか、微妙な値を調べるのですから、測定は精密でなければなりません。
次に、ふいごを使って、ガラスの容器に無理やり空気を押し込みました。
加圧したのです。
すると、驚くべきことに、バランスしていた天秤のガラス容器のほうが重くなったのです。
バランスさせるには、砂を増やさなければなりませんでした。
空気をたくさん詰めると、その分、ガラス容器は重くなったのです。
確かに、空気には重さがあったのです。
これは、大きな驚きでした。
誰一人、空気に重さがあるなどということに気付いた人はいなかったのですから。
しかし、天才はこれで浮かれえてはいません。
彼は、どれだけの量の空気にどれだけの重さがあるのか、それを確かめようというのです。

空気の正確な量とその重さ

今度は、フラスコから空気が漏れないようにして、水を無理やり押し込みました。
全体の4分の3まで、水を押し込んだのです。
フラスコの中の空気は4分の1に圧縮されたのです。< br /> 今度も重さを正確に測定しました。
そしてふたを緩めて、圧縮されていた空気を抜いたのです。
空気が抜けた分だけ、フラスコは軽くなりました。
抜けた空気の量は、フラスコに入っている水の量、フラスコの4分の3ですから、空気の量と重さの関係がわかったのです。
計算の結果、空気は水の400分の1の重さがありました。
ここで、ガリレオは大きな問題にぶつかってしまったのです。
ふわふわとして普段、何の重さも感じない空気は予想をはるかに超えて重かったからです。
こんなことがあるだろうか。
ガリレオの測定が正しければ、
ガリレオの時代のイタリアに東京ドームはありませんが、東京ドーム1杯分の空気の重さは、なんと31000kg・31tというとんでもない重さなのです。
そして、なんどやっても、空気の重さは同じ値を示しているのです。

天才の限界

ガリレオには、空気の重さを説明することができませんでした。
彼はついにこの謎を解くことなく生涯を終えることになります。
この謎は、ガリレオに魅かれて、彼の晩年、わずかな時間でしたが、ともに空気の研究に取り組んだ二人の若い才能に引き継がれることになります。
一人はトリチェリ。長く圧力の単位として使われたトールは、彼の名からとられたのです。
彼は晩年のガリレオの弟子となり、ガリレオの死まで、ともに研究します。
もう一人はボイル。ボイル・シャルルの法則で有名です。
この二人が、ガリレオの後を引き継ぐことになります。

カテゴリ:空気の不思議