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集中豪雨による下水道工事の死亡事故2008/8/5

局所的な豪雨で下水道工事の作業員が流され、5名死亡

午前11時40分ごろ、東京都豊島区雑司が谷の東京都発注の下水道工事現場で、
下水道内で作業をしていた男性6人が豪雨による急な増水で流され、うち5人が行方不明になった。

都心を中心に局所的雷雨

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この日の午前中、東京都内は30度を越える真夏日となりましたが、正午ごろ急速に気温が下がります。
停滞していた前線が南下し、湿った空気が流れ込み、大気が不安定になったものと考えられます。
そして、正午過ぎには、各地で局所的な雷雨が発生しました。豊島区では時間雨量60mmを観測しました。

雨による増水を意識しながらも、判断遅れ

事故の現場となった下水道では、工事開始の水量はひざ下約30センチだった。
そのため、作業員たちは、ひざまで増水したら作業を中断すると決めていたという。
雨が降り始めたのは同11時半ごろ。
地上の作業員がマンホール内を確認したところ、そのときはまだ水かさは増えていなかった。
約10分後に猛烈な雨となり、地上から「上がれ」と指示した時には、すでに腰付近まで増水。
6人が次々に流されたという。
下水道内の水位が若干上がってくるのを見て、工事の中断の判断をするか、迷っているうちに、一気に水位が上がってきた。
危険を感じたときには、もう避難することができないほどの水の勢いとなり、
作業員がつぎつぎ流されて、死亡する悲惨な結果となりました。
一瞬の判断の遅れが、大きな事故となってしまったのです。

危険は察知できるのだろうか

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気象庁は午前11時35分、東京23区に大雨・洪水注意報を出したが、
大雨・洪水警報を発令したのは、事故後の午後0時33分だった。
ゲリラ(局地的な)豪雨は、今自分がいる場所では、晴れていたり、わずかな雨でも、
隣の地区ではとてつもない豪雨となっている危険性があります。
ダムの放水が突然、河川の増水をもたらすときのような鉄砲水が押し寄せる危険があります。

工事マニュアルでは対処できなかった

平成16年に東京都港区の下水道管で急激な降雨により作業員1人が死亡する事故があり、
都はこれを教訓に17年、大雨・洪水警報が出た場合はすべての工事を中止する規定を追加した。
今回の工事請負業者はさらに、注意報発令時も作業を中止する計画書を都に提出していた。
だが、今回の事故は大雨注意報の発令の約5分後に発生し、
大雨警報に切り替わったのは、その1時間近く後だった。

「ゲリラ豪雨、予想できず」下水道事故責任者ら不起訴

警視庁は豪雨が主原因としながら、指示の遅れが事故につながったと判断。
同容疑で2人を書類送検していたが、
東京地検は、業務上過失致死容疑で書類送検された元請けの竹中土木(江東区)の現場責任者の男性と気象担当者の男性の2人を不起訴処分にした。
また、作業員に避難指示を伝える警報などのルールを決めていなかったとして池袋労働基準監督署から、労働安全衛生法違反容疑で書類送検されていた法人としての竹中土木と現場責任者の男性についても不起訴処分とした。
東京地検は処分理由について、「注意報が出てからそれほど時間が経たずに降雨があり、自然現象による急激な降雨や増水を予見することは困難だった」と説明している。

工事のゲリラ豪雨対策

工事を発注した都は22日、業者側に対し、一滴でも雨が降れば即刻作業を中断するよう求め、
携帯電話から気象情報を自動受信できる態勢を義務づける事故防止策案を示しました。
早ければ9月から実施されます。

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