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免疫の負の部分の発見:アナフィラキシー

免疫は病気から守る機能と考えられていた

北里とベーリングはジフテリアと破傷風の抗毒素を発見したのち、抗毒素の血清を使った血清療法を始めました。
とくに
破傷風は、戦争で傷を受けた兵士たちがその傷によってではなく、傷から入った破傷風菌で死ぬのを防ぐのに利用されました。

ジフテリアの治療でも効果を発揮し、多くの子供の命が血清療法で救われました。


血清病の発生

免疫の働きは単純ではありませんでした。
破傷風の抗毒素は馬の血清から作られたため、馬の血清を抗原とする抗体が体内にでき、それがもとで、腎臓病や血管炎などの病気がおこり、死亡するようなケースが出てきます。
血清病と呼ばれました。
免疫反応の負の部分が現れた最初の例です。


免疫反応によるショック死:アナフィラキシーショック

観光地モナコのクラゲ被害は観光にマイナスです。
モナコ国王によりフランスの学者ポルチェとリシェがクラゲの毒の研究のため、招かれます。
免疫血清を作るために、イヌにクラゲの毒を注射します。
少量の毒を二度目に注射すると、イヌがショック死を起こしてしまいます。
最初の注射でできた抗体が、二度目の注射の時に毒に対する抵抗力となるのではなく、ショックを引き起こして、死に至らせるという衝撃的な出来事でした。
当時考えられていた免疫の意味を根底から否定するような出来事でした。
ギリシャ語の無防備という言葉から「アナフィラキシー」と呼ばれることになりました。


免疫の機能:自己と他者の区別;他者の排除機能

このことによって免疫は二度目の病気をまぬかれる機能ではなく、自己と他を見極め、他を排除する働きであることが分かってきました。
このころ、血清を他の動物に注射する実験がいろいろ行われた。その結果、免疫は他の動物の血清に対して、抗体を作り、排除する機能だということがわかってきます。
他の動物だけでなく、同じ動物同士でも抗体を作り、拒絶する自分以外のものを排除する機能が免疫であり、病原菌も自分以外の他者だったので、排除されたのだということがわかってきます。
臓器移植が難しいのは、この免疫の働きで、自分以外のもの(他人の臓器)を敵として排除する免疫の機能のためだったのです。

カテゴリ: 免疫の働き