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「免疫の働き」の一覧

全身性エリテマトーデス

自己免疫疾患はなぜか女性に多い

全身性エリテマトーデス/シーグレン症候群、慢性関節リウマチ、重症筋無力症のような自己免疫疾患は、なぜか女性の発症率が男性に比べて高い。
全身性エリテマドーデスでは、男よりも女のほうが10倍近い。
10代から中年期になることが多い。

重症筋無力症

筋肉が動かなくなる病気

重症筋無力症は筋肉が極度に衰弱してしまう難病です。
症状は、最初まぶたや首、顔の筋肉が垂れ下がるようになることです。
上から始まり、徐々に全身に及びます。
眼球を動かす動眼神経が麻痺して、左右の眼の動きに違いが生じ、右目と左目で見ているものが違うようになってしまします。
複視といってものが2つに見えるようになります。
2つに見えるというと「2重に見える」というように感じますが、症状が進んでくると、そんな生易しいものではすみません。
前から一台自動車が走ってくると、一方の眼でとらえている一台はまっすぐ自分に向かって走ってくるように見えますが、もう一方の眼で見ている自動車は横の方からこちらに向かってくるように見え、まさに目の前で衝突するかのような錯覚に陥ります。

AIDSと日和見感染

日和見感染

日和見感染とは、すでに、私たちの体内に存在する細菌によって起こる感染です。
過去に感染した菌が完全に除去されないで、細胞内などに身を潜めているような菌で起こります。
本来、免疫系は異物を徹底的に探し出して排除するものですが、
実際の身体の中では、このような探索から上手に身を隠している細菌も少なくありません。
病原菌を完全には殺しきれない状態なのです。
それらの菌は単にじっとしているというよりも、繰り返し増殖するのですがが、
増えた分はすぐに免疫系に排除されてしまうため、わずかな量が存在し続けるというのがおそらく正しいのだと思われます。
そのため、ひとたび免疫系が機能を失うと、
身を潜めていた菌の増殖分を排除できないため、大きな問題となってしまいます。
本来は発病しない病気が現れてくるのです。
これが日和見感染です。

AIDS:感染から発症まで

感染の危険度

HIVは非常に弱いウイルスで、普通の生活をしているかぎり、HIVに感染することはありません。
もし感染者と一緒に暮らしていたとしてもまず感染することはありません。
AIDSウイルスはインフルエンザのような強力な感染力をもつウイルスではないのです。
ウイルスが変異を繰り返すうちに、インフルエンザのような感染力を持った場合には大変なことが起こります。
おそらく世界中がパニックになり、人類は滅亡的な死者を出すことになるでしょう。
AIDSに関して、もっとも恐れているのは感染力の変化が起こることでしょう。
さいわい、いまのところ大丈夫です。
感染には、感染に必要なだけのウイルスの濃度をもっていることが必要で、血液・精液・膣分泌液・母乳があげられます。
この3つが感染源と言われます。
それに対して、感染を受けやすい身体の部位としては、粘膜(腸粘膜、膣粘膜など)と血管まで達するような傷です。
傷のない皮膚からはHIVが侵入して感染することはありません。
AIDS患者を刺した蚊に刺されてもAIDSに感染しないのは、血管に達するような傷ではないためです。

AIDSはひとつの病気に対する病名ではない

AIDSは特定の病気ではない

AIDSは、ウイルス感染が引き金となり、免疫系が機能を失う病気です。
その結果、免疫系の崩壊により、さまざまな日和見病原菌に感染することである。
AIDSは「いろいろな病気になる」病気ということができます。
AIDSが「ヒト免疫不全症候群」と呼ばれるゆえんです。
そのため、AIDSの症状は複雑で無秩序というのが特徴です。

AIDS患者数と感染拡大地域

AIDS患者数は6500万人

AIDSは世界で6500万人の患者がいるといわれ、その中でも特にアフリカのサハラ砂漠以南の地域で患者数が圧倒的に多い。全体の60%の患者がこの地域にいるということです。

AIDSの発見・特殊なウイルスHIV

AIDSは後天性の免疫不全症

後天性の免疫不全で、今や誰でも知っており、身近な問題となているのは、AIDSです。
AIDSは後天性免疫不全症候群と呼ばれ、AIDSウイルスによって起こります。
遺伝子の欠陥によって発症する重症複合型麺栄不全症(SCID)と同じように、病原菌に対する抵抗力を失ってしまうのがこの病気の大きな特徴です。

後天性の免疫不全症

先天性(原発性)の免疫不全症

先天性の免疫不全症は、何らかの遺伝子の異常によって発生します。
そして生まれつきの免疫の重大な欠陥による症例は、生命にとって免疫の働きがどれほど重要なものであるかを私たちに教えてくれました。
私たちは様々な病原菌にさらされて生きており、
体内に侵入してきた病原菌を撃退し、排除する免疫系が正常に機能しなければ、
たちどころに生命の危機に瀕することになります。

自己免疫疾患はなぜか女性に多い

自己免疫疾患と男女比

全身性エリテマトーデス/シーグレン症候群/慢性関節リウマチ/重症筋無力症のような自己免疫疾患はなぜか女性の発症率が男性に比べて高い。

自分に対する免疫反応

免疫が自分自身を攻撃する

他のサルの脳細胞を免疫されたサルが、自分自身の神経細胞に対して免疫反応らしい反応をおこし、脳炎に似た症状を示すことが1930年代に報告されました。
ワイトブスキーとノエル・ローズは、この報告をもとに、ウサギのチクログロブリン通分をウサギに免疫する実験を行いました。
通常、免疫系はチクログロブリンを外来異物とは認識しない物質です。
しかし、甲状腺から取り出したチクログロブリンを精製して、別のウサギに戻したとき、正常な甲状腺が傷害を受け、甲状腺炎を発症し、チクログロブリンに対する抗体も産生したことが確認されました。
確かに、自分自身を攻撃する抗体があるという事実を確認したのです。

疑似抗原:「そっくりさん」の悲劇

侵入者が私たちと同じ部品をもっていたとき

免疫が外来からの侵入者を異物として認識するのは、私たち自身とは異なるたんぱく質の断片を見つけるからにほかなりません。
しかし、微妙でやっかいな問題がことがあります。
ウイルスのたんぱく質の構造の一部が、もし私たち自身のたんぱく質と同じだったとき、免疫応答の過程で、自分のたんぱく質を攻撃する抗体や自分自身を攻撃するT細胞を免疫系が作ってしまう危険があります。

自己の確認と自己が自己でくなるとき

自己の確認

生まれたばかりの赤ちゃんの血液には抗体が存在するが、驚くべきことにその多くは自己を抗原とする抗体であるということです。
自己を抗原とするということは、生まれたばかりの赤ちゃんの場合、B細胞もT細胞も自分自身を攻撃しているらしいのです。
抗体が自分を抗原として、自分自身を攻撃するということは、通常の成人では自己免疫疾患として、重大な病気になってしまいます。
ところが、生まれたばかりの赤ちゃんの場合には、この攻撃は不思議なことにまったく無害であるというのです。
そして、生後間もなくすると、この免疫系の自己攻撃は終わってしまいます。

免疫の持つ危うさ

免疫はどうして病原菌を識別できるのか

免疫系が正常に機能するとき、私たちは病原菌から守られて健康でいることができます。
免疫が働いて、病原菌を破壊し、撃退してくれるので、私たちは健康を保っていることができるのです。
しかし、それでは免疫は破壊対象の病原菌をどのようにして病原菌と知ることができるのでしょうか。
実は免疫は、身体に侵入してきたものが病原菌だと知っているわけではありません。
免疫には侵入してきたものが病原菌か、そうでないか識別するような能力はないのです。
テレビの水戸黄門のように善悪がはっきりしているものなど、世の中にそうあるわけではありません。
そんな難しい判断を免疫系に求めることには無理があります。

B型肝炎ウイルスと免疫

B型肝炎の症状

B型肝炎で肝臓が受けるダメージは極めて重篤です。
肝硬変や肝がんに発展することも珍しくありません。
だから、B型肝炎は恐ろしい病気だという認識を多くの人が持っています。

結核と免疫の働き

結核は過去の病気?

結核は、日本などの先進国では、過去の病気として、人々の中では忘れられつつあります。
しかし、結核は医療技術の発展にも関わらず、天然痘のように消え去ることはなく、むしろ勢力を盛り返しつつあります。


結核は現在も大きな脅威

世界全体では、2004年には、死亡率および罹患率は慢性活動性の患者が1460万人、890万人の患者が発症し、160万人が死亡しました。その患者の大部分は発展途上国ですが、先進国においても、免疫抑制剤を使用している患者やエイズの患者、薬物乱用などによって増大しつつあります。

過敏症(アレルギー)の原因は血液にあった

過敏症になりやすいモルモット

実験室でもっとも過敏症を起こさせやすい動物がモルモットです。
卵白のような無害なものでも、一度接種して免疫し、二度目に接種すると、数分後には落ち着きを失い、目や鼻をこすり始めます。
そのうちに、呼吸困難に陥り、毛が逆立ち、失禁や排糞し、呼吸困難のため激しく喘ぎ、血圧の低下、体温の低下が起こり、不整脈などの症状を呈し、脳は酸欠状態になります。
放っておけば、おそらく間もなく死んでしまうでしょう。
このような症状で死んだモルモットを解剖すると、肺の内部が組織液と空気でいっぱいに膨れ上がり、肺の形さえも歪んでしまっています。

免疫の負の部分の発見:アナフィラキシー

血清病の発生

免疫の働きは単純ではありませんでした。
破傷風の抗毒素は馬の血清から作られたため、馬の血清を抗原とする抗体が体内にでき、それがもとで、腎臓病や血管炎などの病気がおこり、死亡するようなケースが出てきます。
血清病と呼ばれました。
免疫反応の負の部分が現れた最初の例です。

アナフィラキシーから始まった

免疫機能のうちにある危険な部分

遺伝子のうちのたった一つの欠陥が重篤な免疫不全を起こし、生命を維持できな程の致命的な症状を引き起こすという事実は免疫機能のうちにひそむ危険性を暗示しています。
免疫機能の一連の発見は、生体防御システムとして驚くばかりの巧妙さの発見でもあったため、研究の多くは、巧妙さの仕組みの方に向けられ、潜在する危険性に注意を向ける人はいませんでした。

偶然が作り出す抗体の多様性:エピトープとパラトープ

偶然性が免疫の多様性を作り出す

抗体分子は固有の構造をもち、イディオタイプと呼ばれますが、これは抗体を構成する遺伝子のパーツの組み合わせの変化などで作り出されます。
その意味で免疫システムを神なきシステムと呼ぶ人たちがいます。
それは、免疫システムの完全さを「外部から侵入してくる新たな外的である抗原を撃退するための綿密に計画されたシステムに違いない」と考えていた人々にとって、組み合わせの偶然性が作り出す多様性という、あまりに呆気にとられるようなものだったからです。
「組み合わせの変化」による多様性とはあまりに「偶然」に支配されたシステムに見えるからです。

イディオタイプとイディオトープ

抗体は独自の立体構造を持っている

60億人というほど多くの人間が地球上で生活しています。
みな、人類ですから、大きく違うわけではありませんが、それぞれ違いがあり、同じといえる人はいません。一卵性の双生児でさえ、よく見れば違いがわかります。
人間にとっては、その微妙な違いは重要で、その違いによって、個人を識別することができます。
抗体も大きな意味では型があり、分類されていますが、立体構造には微妙な違いがあり、独自の構造を持っています。
千差万別の新たな病原菌・ウイルスの侵入に対して対応するためには、抗体のバラエティは極めて重要な機能なのです。

異物・非自己

異物は単なる他者という存在ではなく、「非自己」である

イェルネは、すべての非自己は自己との反応性を基礎としていると考える。
免疫系が外部からの侵入者を異物として認識できるのは、異物であるからではなく、内部にある自己(内部イメージ)との比較、対比によって自分でないものを「非自己」、「他」と判断するのだといいます。
比較する自己がなければ、非自己は存在しないということなのです。

鋳型説と選択説

抗体が生み出す多様性の謎

抗原分子が体内に侵入すると、どうしてその抗原に対応する抗体が作り出されるのか。
この謎を理論的に解き明かそうと多くの研究者たちが立ち向かいました。
どんな抗原にも、対応する抗体を作り出す免疫系の柔軟さの秘密はどこにあるのか。
私たちをはじめとする動物の体内では、どうしてそんな不思議なことができるのか。

イェルネのネットワーク説:抗体はすでに準備されている

人間一人の中には、約2兆個もの抗体分子があるといわれており、もし、それを取り出して重さを計るなら、およそ1kgにもなるということです。
それは、なんと脳細胞よりも多いというのです。

異物を認識する能力の不思議:自己と非自己

異物・異物と簡単に言うけれど、何が異物で、何が異物ではないのか

身体の中に外部から異物が侵入してくると、すぐさま、異物を撃退する免疫機能が働き、・・・・
教科書的には、実に簡単な話です。
しかし、実際にどのように異物を自分ではないと知るのか、大変不思議なことです。
体内にある抗体のバリエーションだけで数えきれないほどの型があるのに、それは自分で、その中に紛れ込んだ、たった一つの異質を見極めるとは、まさに神業ではありませんか。

抗体の多様性・抗体は5種類に分類される

抗体がどんな外敵(抗原)にも対応して作り出されることは、たいへん不思議なことで、多くの研究者がその謎を解き明かそうと努力しました。
イェルネの提唱したネットワーク説や鋳型説など議論を戦わしたのは、ほとんど無限という多様性が私たちの常識を超えたものだからでした。