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抗体の多様性を作り出す仕組み

抗体はどんな新たなウイルスにも対応したものがつくられる

身体に侵入してくる異物はどんなものか予測することはできません。
しかし、抗体は驚くべき多様性をもって、未知の侵入に対応しています。
新たなウイルスが体内に侵入すると、3日後には、
そのウイルスを見つけ出して破壊するための抗体が体内で大量に作り出されるのです。
驚くべきことは、いままで体内に存在していなかった型の抗体が、
侵入してきた病原菌などの抗原に合わせて新たに作られるのです。
侵入してきたウイルスがどんな型のものであれ、そのウイルス用の抗体がつくられるのです。


抗体の多様性の秘密:多様性のどのようにして作り出されるのか

抗体遺伝子には、H鎖とL鎖という2本のポリペプチドの鎖が触手のようにあります。
H鎖の構造は3つの部品のつなぎ合わせでできています。
3つの部品は次の3つです。

  • V遺伝子
  • V遺伝子は「変化に富む」という意味のVariabilityから名づけられ、数百種類の構造のパターンが知られています。

  • D遺伝子/li>

    D遺伝子は「多様性」という意味のDiversityから名づけられ、4種類の構造パターンが知られています。

  • J遺伝子
  • J遺伝子は「結合」の意味のJoinから名がつけられました。

この3つの部品から作られる組み合わせのパターンは数千種類になります。
抗体のH鎖遺伝子情報は、構成する部品の組み合わせの変化で、数千種類の抗体を作り出す能力を備えていることを意味しています。


2本の遺伝子の変化

H鎖で生み出される組み合わせの変化にL鎖でも同様の組み合わせのバラエティがあります。
H鎖とL鎖の両方の変化が組み合わせられると、途方もない数のバラエティを生み出します。
結果的には数千万以上の組み合わせの変化があり、抗原に対応する抗体のバラエティの基礎になる多様性を生み出しています。
組み合わせの多様性は、抗体の多様性の基礎であって、すべてではありません。
抗体の多様性にはまだ先があるのです。


組み合わせを超えた変化が生み出す無限のパターン

部品の一つ、V遺伝子は遺伝子自体が頻繁に突然変異を起こしていることが知られています。
そのため、実際のV遺伝子は数百種類でなく、無限の変化をしているともいうことができます。
そうなると、抗体の種類はカウントすることができないことになります。
どんな抗原が侵入してきても、その抗原と結合する抗体が3日のうちに作られるという免疫の機能は、こうして作られる抗体の無限のパターンに依存しているのです。
その多様性は、地球外の生命体にも対応できるという程の「自在の変化して対応」する能力です。


恐るべき無駄:在庫の山が生み出す完全性

在庫の山を抱えていたら、商売は失敗してしまいます。効率が悪いからです。
しまし、抗体の多様性というのは、恐るべき無駄と思える在庫の山を抱えることで生み出されているのです。
何千、何万、それ以上の可能な限りあらゆる種類の抗体を作り出して、1セットずつ保存しておくことで、「さあ、なんでも来い」と準備するのが抗体のやり方なのです。
もしかしたら、もしかしたらではなく、ほとんどの抗体は出番を迎えることなく、人間の寿命が終わってしまうでしょうが、そんなことお構いなしに、あらゆるパターンを準備しているのです。
あらゆる未知の侵入は、体内ではすでに既知のものの侵入なのです。レパートリーに入っているのです。
どうして、そんな無駄をするのでしょう。
それは新しい未知の侵入があったとき、それから抗体を設計し、作り出していたのではおそらく間に合わないのでしょう。すでに準備できているから、3日目には、侵入してきた抗原に対応する抗体が大量に作り出されるほどの迅速性があるのです。
驚くべきことです。
しかし、この無駄が私たちの身体を守っているのです。

カテゴリ: 抗原と抗体