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治療困難な重症複合型免疫不全症:幼い子供の死

重症複合型免疫不全症の恐怖

先天的にT細胞、B細胞の両免疫系に欠陥をもつ子供が生れることがあります。
ほとんどは生後まもなく悲しみの死が待ち受けていることを思い知らされます。
この免疫不全は重症複合型免疫不全症(severe combined immn\unodificiency disease:SCID)という治療困難な病気です。
どうして、治療が困難かというと、あらゆる病原体にたいする免疫機能に欠陥があるため、くりかえし重篤な感染症をおこし、一時的に回復しても、結局徐々に重症化してしまうのです。
しかも、原因は遺伝子の欠損で、そのため、免疫に必要なT細胞、B細胞の機能に欠陥が生じているのですから、事態は深刻です。
徐々に重篤化して、ほとんど生後2年のうちに死を迎えることになります。
生命にかかわる重大な遺伝子の問題を抱え、治療の手段が見いだせないのが実情でした。


幼い死の現実

初めて、この病気が発見されたのは1900年代の前半でした。
骨髄移植のみが、望みでしたが、適合する骨髄提供者を見つけるのは、家族の中でも困難で、患者が長く生存することは望めませんでした。
末期の症状は、ほとんどAIDSを同じような状態になって死を迎えます。
しかも患者は生後間もない幼子ですから、やりきれない悲しみ、哀れを感じないではいられません。


重症複合型免疫不全症の原因

SCIDは多くの場合、T細胞の欠陥がB細胞の抗体産生細胞への分化、成熟を妨げてしまい、その結果、T細胞系、B細胞系の両免疫機能に障害が出ることになります。


わずかな病原菌が致命傷に

ブルトン型の無ガンマグロブリン症とは違い、SCIDは血清中のB細胞の数は、普通、ほとんど正常な値を示します。ところが、そのB細胞の抗体機能が正常ではないのです。
悲惨なのは、多くの場合、SCIDと知らずに、ワクチンの接種が行われると、ワクチン接種がそのこどもに致命傷を与えてしまったのです。
ワクチン接種は、抗体産生能力のない身体に弱体化したものとはいえ、病原菌を接種するのですから、まさに、死を注入されることになります。結果は無残なことになります。
SCIDとわからないのですから、仕方がないにしても、このような幼子の死は、哀れを感じないではいられません。
かつては、何人ものこどもが、治療の甲斐もなくなく、苦しみのうちになっていたのです。

カテゴリ: 免疫発見とその歴史