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人痘接種:推進派と反対派で二分

人痘接種:ブームの陰で

どんなことでも新しい試みは反対に出会います。
とくに人命にかかわること、人生観にかかわるほどのことでは、反対も激しくなります。
メアリー・ワトレー・モンターグ女史が英国に紹介した人痘接種は、ある意味で華々しい成功を収めました。
しかし、成功率は100%ではありませんでした。
多くの人のいのちを奪っている恐ろしい天然痘の膿を健康な人に接種すると治療法ですから,
ある意味で危険を伴うことは当然でした。そして、失敗は生命にかかわる可能性があります。
失敗は反対派の人々に加格好の攻撃材料を提供することにもなります。

人痘接種により9才の女の子の死亡

人痘接種を受けた9才になる女の子が、最初は多くの成功例と同じような症状を示していましたが、その後様態が悪くなり、非常な苦しみの中で、やせ衰えて接種後およそ9週間で死亡するという事件が起きます。
死亡時の浮腫は36個であったことが記録に残っています。
天然痘に罹って死亡する場合、発病後9週間も生存することは滅多にないことです。
浮腫が36個というのも、天然痘が発病したとすると、あまりに数が少なすぎます。
しかし、当時の知識では、死亡原因が人痘接種におるものなのか、接種技術によるものなのか、別の衛生的な原因によるものなのか、それとも、まったく別の理由によるものなのか、今となっては知る由もありません。
しかし、この出来事は、人痘接種に反対する人々にとっては、十分な攻撃の材料となりました。

反対する人々

多くの場合、宗教的な立場からの反対に注目が集まりますが、
反対する宗教家:賛成する宗教家
反対する医師:賛成する医師
反対する政治家:賛成する政治家
反対する民衆:賛成する民衆
どの職業にも、どの地位にも、人痘接種に反対する人たちと、人痘接種を推進する人たちがいたのです。
社会は単純に分類できません。
これは、人痘接種ばかりでなく、どんな問題でも同じことなのです。
そして、私たちは、もし、私がその時代に生きていたら、「私はきっと賛成した」と考え、反対派を批判的に評価します。
そして、現代の問題には保守的な反対者の立場に立って、新しい革新的な意見に耳を傾けないのです。
ともかく社会は二分されてしまいました。

代表的な反対の立ち場

  1. 新しいことを受け入れない保守的な考え方
  2. 中東のイスラム圏からもたらされたことによる懐疑。英国文化の傲慢
  3. 病気を神からの罰とする誤った思想

賛成派の考え

  1. 中東・イスラム社会からもたらされたとはいえ、十分な実績がある
  2. 接種を受けた多くの人が天然痘にかからないで生活している
  3. 天然痘にかかっても非常に軽い症状で収まっている

カテゴリ: 免疫発見とその歴史