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胸腺形成不全による免疫不全

胸腺の形成不全が引き起こす重篤な症状

先天的な胸腺の形成不全は、同時に副甲状腺の欠損、顔面の奇形、頭部の発達異常を併発するために、経験のある小児科医は一目でそれと気づき、見逃すことはありません。
根本的な原因は胎児期の発育過程の異常で、さまざまな症状を伴う特徴があります。
副甲状腺の異常は、低カルシウム血症を起こし、さらに心疾患や精神の発育障害をもたらします。
低カルシウム血症は筋肉の機能障害や痙攣などの原因にもなります。
さらに、ウイルス感染や細菌感染も起こしやすいことが知られています。
しかし、いったいこの子供の中で、何が起こっているのか、まだ問題を外から眺めているようで、問題の本質的なところ解決の糸口のようなところには、まったく近づけていませんでした。


胸腺の機能は知られていなかったが、・・・

アンジェロ・ディ・ジョージは、胸腺の形成不全の症状をもつ幼児に長く関心を持っていました。
1960年代のディ・ジョージの時代には、この症状をもつ幼児は、たいてい、長く生きることはできず、生後数年以内になくなってしまうのがふつうでした。
胸腺の形成不全が重大な症状であることはわかっていても、胸腺が身体の中でどのような役割をしているのかは、まだ、まったく何も分かっていなかったのです。


胸腺が免疫機能に重要な働きをしていることが暗示された

ディ・ジョージが子供の患者の免疫機能を検査して見ると、血清中の抗体量は正常でした。しかし、驚くことに、まったく他人の皮膚を移植して見ても、拒絶反応が見られませんでした。
10年ほど前に公告されたブルトン型無ガンマグロブリン血症の患者の場合、血清中に抗体はまったくないのに、皮膚移植に対して明確な拒絶反応がありました。
しかし、ディ・ジョージが扱った胸腺の形成不全の患者の場合、血清中の抗体量は正常なのに、拒絶反応がありません。
このことは、抗体を中心とする免疫の機能と、それとは別の胸腺の形成不全が関係する免疫の機能が存在する可能性を暗示しています。
これがディ・ジョージの報告したディ・ジョージ型免疫不全症です。
この報告がブルトン型無ガンマグロブリン血症と比較され、研究されることにより、まもなく、2つの免疫の働きが解明されることになります。


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