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偶然が作り出す抗体の多様性:エピトープとパラトープ

偶然性が免疫の多様性を作り出す

抗体分子は固有の構造をもち、イディオタイプと呼ばれますが、これは抗体を構成する遺伝子のパーツの組み合わせの変化などで作り出されます。
その意味で免疫システムを神なきシステムと呼ぶ人たちがいます。
それは、免疫システムの完全さを「外部から侵入してくる新たな外的である抗原を撃退するための綿密に計画されたシステムに違いない」と考えていた人々にとって、組み合わせの偶然性が作り出す多様性という、あまりに呆気にとられるようなものだったからです。
「組み合わせの変化」による多様性とはあまりに「偶然」に支配されたシステムに見えるからです。


パラトープとエピトープ

イェルネのネットワーク説によれば、イディオタイプをもつB細胞は体内に新たに偶然出来上がった立体構造を持つイディオトープは、既存のシステムにとって異物であるに違いない、と言います。
異物であれば、それを抗原とみなして結合する抗体があり、抗原と抗体の結合が起きる。このイディオトープに結合する抗体の立体構造をパラトープと呼びます。
外部から侵入してきた抗原も同じように結合しますが、その立体構造をエピトープと呼びます。


免疫の多様性:偶然を保存しながら成長していくネットワーク

イディオトープがパラトープと結合して作り出すのは、次々に結合して作り出されるネットワークで、そこにはあらゆる種類・構造のイディオタイプを備えたものに理論的になるといえます。
このネットワーク構造こそ、新たなどんな侵入者をも認識できる多様性を作り出す、とイェルネは考えました。
なぜなら、イディオタイプはパラトープと結合することで、同じ構造のエピトープを認識する準備が整っていることになる、というのです。
新たな侵入者エピトープは、すでにあるネットワークの輪の中で同じ構造のパラトープと結合しているイディオトープによって認識され、捕えられる。
内部にあるものを認識していたから、外部から同じものが入ってくれば、当然のこと認識できる。認識できる内部イメージがあるからだ。
外部からの抗原の侵入は、対応する抗体を刺激し、ネットワーク全体を刺激する。
刺激され活性化したネットワークは、侵入が完全に制圧されるときに、平常に戻る。

カテゴリ: 免疫の働き