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「抗原と抗体」の一覧

受動免疫と能動免疫:血清療法の危険性

血清療法:動物の血清に含まれる抗体による治療

19世紀末に、ベーリングと北里が抗体を発見したことがきっかけとなり、ジフテリア、破傷風などの感染症の治療が劇的に変わりました。
ウマやヒツジに、感染症の毒素を注射し、抗体が産生されたときに、血清を採取します。
多くの人がいのちを奪われたジフテリアや破傷風の感染症に罹っている患者に、それぞれの感染症の抗体を含む血清を注射するのです。
抗体のなかった人に、ウマやヒツジの体内で作られた抗体が含まれている血清を注射すると、感染症は劇的に改善し、回復しました。ひん死の状態の患者さえも回復したため、感染症によって多くの人のいのちが失われていた時代が、まるで信じられないほどの効果があったのです。
血清療法と呼ばれて、大流行し、なんでも、かんでも、血清、血清というほどでした。

抗体が大量に作られるまでのプロセス

B細胞とは

血液中のリンパ球の20%~30%はB細胞です。
B細胞は骨髄(Bone)から作られるので、その頭文字がつけられています。
B細胞は、その細胞表面に、免疫グロブリン(免疫:Immunity、グロブリン:globulin)で、一般にIgの略号で知られている分子を持っています。
Igは受容体(レセプター)と呼ばれ、抗原と結びつくのがこのレセプターの部分です。

抗体がないとどうなってしまうのか

免疫(抗体)が正常に機能しないと・・・

免疫の機能が徐々に解明され、遺伝子的な側面からも研究が進んでくると、今までは、単に伝染病で運悪く死んでしまった病弱な子供とみられていたケースにも免疫的な側面から光があてられるようになりました。
その中には、特殊な免疫の病気が原因であることがわかり、いくつもの症例の原因の解明や治療に道が開かれるようになりました。

抗体の多様性を作り出す仕組み

抗体の多様性の秘密:多様性のどのようにして作り出されるのか

抗体遺伝子には、H鎖とL鎖という2本のポリペプチドの鎖が触手のようにあります。
H鎖の構造は3つの部品のつなぎ合わせでできています。
3つの部品は次の3つです。

  • V遺伝子
  • V遺伝子は「変化に富む」という意味のVariabilityから名づけられ、数百種類の構造のパターンが知られています。

  • D遺伝子/li>

    D遺伝子は「多様性」という意味のDiversityから名づけられ、4種類の構造パターンが知られています。

  • J遺伝子
  • J遺伝子は「結合」の意味のJoinから名がつけられました。

この3つの部品から作られる組み合わせのパターンは数千種類になります。
抗体のH鎖遺伝子情報は、構成する部品の組み合わせの変化で、数千種類の抗体を作り出す能力を備えていることを意味しています。

抗体の多様性:どんな抗原にもぴったりフィットした特注品の抗体作ります

抗体はオーダーで作られる:身体の中に入ってくるウイルスの形は千差万別

ウイルスや細菌にはいろいろな種類があり、私たちの身体にとっては、ウイルスや細菌との出会いは、「未知との遭遇」なのです。
はしかには二度罹らないことがよく知られています。
それは、一度はしかに感染しすると、はしかのウイルスに対する抗体は、それまで身体の中になかったのですが、はしかのウイルス(抗原)が身体の中に入ることによって、はしかのウイルスに対する(専用の)抗体が体内に作りだされるのです。

抗原・抗体反応:異物ってなに?・怪獣キメラのおはなし

怪物キメラ

ホメロス(イーリアス)によると、怪物キメラは頭はライオン、身体は山羊、尾は蛇からできていて、怪力をもち、凶暴に暴れまわる怪物であるとされています。
ベレロフォンは、この怪物を退治するために、鉛の塊をつけた槍をもって、ペガサスに乗り天空から襲いかかります。
迎え撃つキメラが、まさに口から炎を吐こうとした瞬間、ベレロフォンは、鉛の槍をキメラの口の中に打ち込みます。
炎で溶けた鉛がキメラの口をふさいでしまい、キメラは窒息して息絶えてしまうのです。
キメラの父は巨人デュポン、母は蝮の下半身を持つ美女エキトナといわれ、エジプトのピラミッドとともに有名なスフィンクスも、キメラの兄弟とされます。

免疫と抗体:抗体の働き

免疫と抗体<.h3>

私たちの身体に、外から何らかの異物が入り込んできたとき、それを異物として認識して、撃退する身体の防御システムがあります。
「免疫」と呼んでいる機能です。
この免疫システムを支えている主役の一人が抗体と呼ばれる一種のたんぱく質です。

抗毒素(抗体)の発見の衝撃

医学界への衝撃:血液の中に毒を中和する物質ができる

ドイツのコッホのもとで研究をしていた北里とべーリングは、破傷風菌を少量、うさぎに注射する実験を行った。発病したり、致死量とならないように、破傷風菌は、少量ずつ、何回かに分けて注射しました。
その後、このウサギに通常であれば致死量に相当する量の破傷風菌を注射してみると、驚くべきことに、ウサギは死なないばかりか、発病することもなく、まさに元気なままで、ウサギには何事も起こりません。
そのときは、北里にも、ベーリングにもわからなかったのですが、ウサギの体内に、菌をすこしずつ注射したことで、破傷風菌に対する抗体ができていたからでした。

抗体発見:北里柴三郎

ジフテリア・破傷風は人の体内で毒素を放出します。この毒素が病気を起こしているわけです。そこで、彼はこの毒素をすこしづつ、段階的に量を増やしながら、馬に注射してみたのです。
すると、馬の体内で、毒素を中和する不思議な働きをする物質が作られ始めたのです。この毒素を中和する物質を北里は抗毒素と呼ぶことにしました。
この抗毒素こそ、今日の免疫学を誕生させたといってもよい重大な発見「抗体」の発見でした。